2009年6月過去ログ
- 2009年6月30日 Lucchiの展示会が始まります
- 2009年6月23日 慰霊の日
- 2009年6月18日 聖人の彫像
- 2009年6月 8日 球体関節人形 No.4 kiki
- 2009年6月 5日 球体関節人形 No.1 Alice
- 2009年6月 3日 大ちゃんの世界
あさって7月3日金曜日から、Lucchiの展示会が、GASA*にて行われます。
植物をモチーフとしたアクセサリーは、すべてハンドメイドで、その表情は一点一点細部まで
豊かに表現されています。まるで、妖精に導かれて描写しているようです。
去年の11月と今年の4月にバレリーナ展で一緒だったので、皆さんもご存知ですね。
今回は、テンペラ画家であり、ポタニカルアートの第一人者でもある豊永侑希さんとの展示会です。
植物収集家のお部屋に入り込んだような空間に、彼女たちの作品が並びます。
スペソーも少しですが、協力させてもらいました。
GASA*の1階の会場になる空間をエイジングして、今回の展示会の雰囲気に近づけていきました。
作業前のお店です。
3年くらい経過しまして、そろそろ
壁を替えたかったようです。
壁の仕上げは、ボードに塗装です。
一番シンプルな仕上げですが、
なんとなく、ナチュラルな感じが
全面に出ていました。
こういった仕上がったボードの上に
エイジングをする場合は、
手間がはぶけますから、汚したり、
塗装したりしていくことが
多いと思います。
でも、置かれる作品や商品のことを
考えると、なんとなくの仕上げでは
引き立てられないものです。
そこで、今回は左官しました。
直接盛っていって、厚さ5mmくらいです。
この状態でもいいんですが、
堅い感じがします。
その後に、壁を錆びさせていきます。
だんだんオレンジがかった茶色に
変色させます。
入口を入って突き当たりの壁の
表情ですが、はじめのは施行前です。
次のが、左官だけの状態です。
そして、錆びさせたものです。
豊永さんの絵画の雰囲気に
近づきました。
お店の雰囲気が変わりました。GASA*の洋服たちも喜んでいました。
Lucchiのアクセサリーと豊永さんの絵画が来るのが楽しみです。
マテリアルや仕上げに興味のある方も、是非脚を運んでみて下さい。
Lucchi & Yuki Toyonaga Exhibition
会期:7月3日(金曜)〜7月12日(日曜)
時間:12:00〜20:00 ※ 6日(月曜)はお休み
詳細はこちらをご覧下さい。
GASA*ホームページ
Lucchiホームページ
今日6月23日、摩文仁の丘で、沖縄全戦没者追悼式が行われました。
64年の歳月が流れたんですが、戦争を経験していない僕ら世代も、年を重ねるごとに
この戦争の実相と教訓を、より深く胸に刻めるようになってきたように思えます。
守礼の門の脇に一本のヤシがあります。首里城周辺でも、この高さのはあまり見かけません。
写真家の坂本万七さんが、沖縄の昭和14年の風景を写した写真集を見ると、
首里城も守礼門もハンタン山も円覚寺のあたりも、高々と生い茂るヤシやアカギ、ガジュマル、
デイゴで覆われるくらいになっていたようです。
戦争でほとんどなくなってしまったんですが、このヤシと、ハンタン山のガジュマル、
金城町の大アカギだけは、今でも残っています。
沖縄を訪れた方も多いと思いますが、
この木をよく見てみると、銃撃痕が
多数あるのに気付きましたか?
首里にはこうした銃撃痕が、至る所に
見られるんですが、
この木は、どれほどの悲惨な風景を
目の当たりにしてきたんでしょうね。
今では、ようやく訪れた平和の日々を一番待ち望んでいたかのように、
まっすぐ伸びていっているようです。
ちょうど1年前に制作した聖母マリアの彫像を、久しぶりに見ることができました。
去年の展示会で出展した彫像は10体のうち、7体が手元を離れていきましたが、
近しい人たちの元にいったので、見に行けると考えていました。
なかなか気にならなくなっていってしまうものですね。
今見るとやっぱりちょっと粗いですけど、初々しくて前向きな彫像でした。
聖人を彫ったんですが、女性の聖人は
驚くほど少ないようです。
長い間、迫害されていたんですね。
信仰はとても深く慈愛に満ちているのに。
男性はイエスだけ彫りました。
今のところこの像だけですね、男性は。
彫像、小物などの品物は、国立のagreable museeさん以外にも、
中目黒にあるhikeさんに少数ですが、販売していただいてます。
北欧の柔らかな家具に囲まれて、作品も気持ち良さそうにしています。
『町の上に高く柱がそびえ、その上に幸福の王子の像が立っていました。
王子の像は全体を薄い純金で覆われ、眼には二つの輝くサファイアで、
剣の束には大きな赤いルビーが光っていました。』
オスカー・ワイルドの短編小説「幸福の王子」を読み始めたところで、
キキには、ツバメではなく、心地よい眠気がやってきて、彼女はこらえきれずに
「幸福の王子」をひざの上に置きました。
キキは、その浅い眠りの中で、たくさんの「部屋を彩るもの」たちを眺めていました。
宝物の人形たち、大好きなバレリーナ、遊び方がまだよくわからないトランプや、
むかしむかしに作られたような果物のレリーフに、鉄と鉛でできた小さな童話の人形。
この文章は、先月行われた、2009年度の
現代手工業乃党の展示会、
「部屋を彩るもの展」での、ディスプレイの
コンセプトになったものです。
僕はいつも通りに展示会も、作品ありき
ではなくて、空間作りをどうするかから
入ります。
イメージ出来た空間に合った作品や
ディスプレイを作り始めます。
作りたい物はたくさんありますが、
今の名もない僕らにとっては、
伝えたいことのほうが大切だからなんです。
キキが手に持っている、深いグリーンの
レザーカバーの小さな古ぼけた本ですが、
よく調べてみたら、1915年頃の
little leather libraryという、
当時の厳選された名作文学を100冊ほど
刊行したものの中のひとつのようです。
イメージした時代背景も100年ほど前
だったので、本当にピッタリでした。
そんなわけで、球体関節人形のブログの累積数がたまりすぎたようです。
このままだと本当に、人形作家と思われかねないので、今回でひとまず締めますね。
GASAのみなさん、党のみんな、IIDギャラリー、会場に来てくれた方々、
そして、球体関節人形を愛するすべての方々に感謝します。
この度は、貴重な経験をさせていただき、いろいろありがとうございました。
思えば、去年の年末にジョセフ・コーネルという作家の本を買おうと、amazonでいろいろと
検索していた時、偶然見つけたのが「吉田式球体関節人形制作技法書」でした。
それから見よう見まねで制作しながら、いろんな人形作家さんたちの作品などを調べました。
もちろん、ハンス・ベルメールもです。
それでも、彫像のように、作品をこの眼で見るところまでは、出来ませんでした。
今回の展示会に来てくれた方全員が、ブログで見たのと全然違うと言っていたのですが、
僕もはじめにこのアリスを作ってみて、それを実感していました。
僕と五十嵐さんが作り込めた世界観というより、人形それぞれが自分で作り上げた世界観が
ここに現れているからだと思います。
このアリスのために制作したトランプですが、
忙しい中、全面協力してくれたGASAの
皆さんに、記念にもらってもらったんですが、
会期中アリスがずっと右手に持っていた
クローバーの10のカードを、小澤さんが
無意識に選んだのが偶然ではないと
思ってるのは、僕とアリスだけでしょうね。
7が多かったのも、僕が七並べの要領で、
7から刷り始めていたのと、無関係では
ないと思ってますが。
ちなみに、ブログで制作のプロセスを
見ていた人は知ってると思いますが、
アリスは自分で立てるんです。
EXITの清水くんは、真顔で
「あれ?名前、クララじゃないんだ」
って言ってましたが......。
アリスは、GASAのご好意で、白金のお店にしばらく置いてもらっています。
会期中に来られなかった方は、是非脚を運んでみて下さい。
猫:「ニャ〜〜〜!」
題名『長靴を履いた猫』
ねずみ:「チュ〜〜〜!」
題名『ヘンゼルとグレーテル』
ヘンゼル:「わ〜い!お菓子の家だよ!」
グレーテル:「すてき!」
魔女のおばあさん:「いっひひひひ」
題名『ブレーメンの音楽隊』
にわとり:「ひゃっほー!」
ねこ:「にゃ〜ほー!」
いぬ:「わお〜ん」
ろば:「ブルゥッブルゥッ...ゴホッゴホッ......」
楽器:「..........。」
題名『赤ずきんちゃんとおおかみ』
赤ずきんちゃん:「キャ〜!」
おおかみ:「グジュルグジュル、ウシシシシ」
お花:「.....えっ?」
題名『青い鳥』
青い鳥:「.......うん?.....あ〜?」
いかがでしたでしょうか、大ちゃんの世界。
細かい説明は不要ですね。
表面的なこだわりや理由付けをして、付加価値だけをつけようとしたり、技術的に人と違ったことを
突き詰めていっても、アイデアで先走っても、世界で自分だけしか表現できない
オリジナリティーっていうのは、出せないものです。
自分しかわからない、自分がいちばん知りたい、自分の内面を表現できたら、
伝えられるものなのかもしれないですね。