2011年11月過去ログ
- 2011年11月29日 ウンナンシボリアゲハ
- 2011年11月23日 ユキノシタ
- 2011年11月21日 The future has been here forever
- 2011年11月17日 『 器展 ゆらぎ 』
- 2011年11月14日 ケミカル
- 2011年11月10日 la racine
- 2011年11月 1日 現代手工業乃党2011 Exhibition
先月末のNHKニュースで、幻の中の幻のチョウとされていた、
ブータンシボリアゲハが発見され、映像として映し出されるという、
ビックリ仰天の大発見ニュースを見ました。
ただでさえ見つけるのも大変だったのに、どうやってTVに。。。
いろいろ複雑な気分にさせられてしまいましたが、
とにかく78年振りの世紀の大発見に、小学生だった頃のあの出来事を
思い出さずにはいられなくなったのでした。
1981年、北海道山岳連盟隊が、中国四川省のミニヤコンカ山に挑みました。
残念なことに不運に見舞われ、多くの犠牲者を出してしまいました。
当時とても大きなニュースでしたので、小学生でしたが、僕も覚えていました。
僕が小学生でも覚えていられたのは、世紀の大発見とされたニュースがあったからでした。
この登山の副産物として、隊員の梅沢さんらが持ち帰って来た珍しいチョウのことです。
それは、長い間謎のチョウとされていた、ウンナンシボリアゲハでした。
イギリスの植物学者のジョージ・フォレストが、このチョウを雲南省で採集したのは、
1918年頃のことでした。
この発見は、それ以来の大発見として、とても話題になっていたのでした。
小学生だった僕はもちろん、次の日にはワギとたーちゃんたちとカブト山に行って、
いるはずもないウンナンシボリアゲハを探しまわっていたのでした。
何日も何日も。。。
ウンナンシボリアゲハ
学名:Bhutanitis mansfieldi
生息地:中国四川省、雲南省
現在はだいぶ装備も進歩して、
危機管理能力が高まったおかげで、
難しくはなくなって来ていますが、
以前までは、このチョウを採集するのは、
命がけだったそうです。
僕が制作したのは、原名亜種は見られないので、
生息数の多い同属亜種のものですが、
それでも、このチョウには、近づいてはいけないと
思わせる神聖な何かを感じます。
今週金曜日から始まる『ケミカル展』では、スペソー10周年記念として、
写真の「The world butterflies」の作品から、あるキーワードを探していただくと、
1名様のみで申し訳ありませんが、記念品を差し上げたいと思っています。
解答用紙はGASA*shopスタッフにお尋ね下さい。
抽選は最終日に行う予定です。
詳細はGASA*HPのinformationまたはblogをご覧下さい。
在店日時です。
12月3日(土)2人
4日(日)モリソン
10日(土)大ちゃん
11日(日)モリソン
17日(土)大ちゃん
18日(日)モリソン
※平日の在店日時は、また後日お知らせします。
※大ちゃんは忙しくても絶対休むので、日曜はだめだそうです。
5月の中頃、shawn&meguさんのブログで見かけたユキノシタの写真です。
僕は彼のブログをほぼ毎日見ていますが、この写真だけは何度も見直していました。
毎日見直してるうちに、きりがないからと思って、制作することにしました。
自生しているユキノシタは、写真で見るよりもずっと生命力があって、
たくましいのですが、僕は彼のユキノシタに魅了されて作るので、
あくまでも写真をメインに見て制作していきました。
5mmの鉄の棒を細く細く、ひたすらフェザータッチで削り出していくと、
出来上がった茎の姿は、沖縄の海の中の枝珊瑚のようにも見えました。
花は、茎の印象を損なわないように、そっと添えてあるようにつけました。
今回のケミカル展が5月に決まってから、
通常業務の合間を縫って、少しずつ制作していました。
限られた時間でしたが、
焦らずにコツコツとやってきました。
なんだかその歩調が花たちと、
うまくかみ合ったのかはわかりませんが、
6ケ月かかってようやく出来上がったこのユキノシタは、
写真の花がそのまま枯れて、
半年経ったような姿になりました。
ユキノシタ
学名: saxifraga stolonifera
ユキノシタ科ユキノシタ属の半常緑多年草
本州、四国、九州の広い範囲でみられます。
深い山や森の中というよりは、人里に咲く花です。
華奢な立ち姿は、珊瑚のリュウキュウイソバナのようです。
太古の生物が、氷の中に閉じ込められたまま、今もこの極地のどこかに埋もれています。
自然的に氷の世界に閉じ込められてしまったものが大半を占めますが、
人為的に冷凍された生き物も少なくありません。
現在も北緯度にある博物館などで見られますが、その歴史はとても長く、
有史以前から氷の中に生物を、食用のみならず、観賞用にも保存をしていたそうです。
1869年にアメリカで開発されたセルロイドから始まったplastics(合成樹脂)ですが、
腐食しにくい利点の代わりに、廃棄処理しづらいという欠点を持つために、
環境問題が顕在化する現在では、元の油に戻せる新しい樹脂が開発され、
環境に配慮されたアクリルや新しい樹脂が使用されていますが、
90年代以前に生産された大量の樹脂を廃棄するための術は、
豊かな先進国では問題なく処理できていますが、貧しい途上国では、
消却して大気汚染をするか、埋めるしか無い状況が続いているようです。
遠い将来、温暖化が進んだ地球で人類が発見するのは、氷に埋もれた生物ではなく、
樹脂の中に同化した生物なのかもしれません。
そんなことを考えながら制作してみました。
冒頭のタイトルは、この樹脂のシリーズの
作品のタイトルです。
「未来はずっとここにあった」、そんな感じです。
樹脂を本格的に扱ったのは、作品では初めてでした。
『ケミカル展』のケミカルに対しての、
直球勝負みたいなものですね。
写真はスノーフレークになります。
すべて違う植物で、5点ほど出展する予定です。
さすが樹脂です。落としても壊れない、
耐震設計になっております。
沖縄から展示会のお知らせです。
僕にとっては、なくてはならない場所の茜陶房のアトリエ。
その柔らかな優しさに包まれたアトリエで出来上がった器たちが、
植物たちに囲まれて並びます。
茜陶房にとってはアトリエ以外での初めての個展になります。
二人も器も、きっと凛としていると思います。
この週末、運良く沖縄にいらっしゃる方は、是非お立ち寄り下さい。
詳細は茜陶房webサイト:http://www.h2.dion.ne.jp/~akane.p/
またはDetail full webサイト:http://detailfull.ti-da.net/をご覧下さい。
酸化鉄、いわゆる錆びた鉄の化学式です。
これは赤さびのことで、黒さびだとFe3O4で、水溶液中に緑色に錆びるものは
FeIIIxFeIIy(OH)3x+2y-z(A-)zと記されます。
何だか難しいのですが、化学反応というものは、日常世界で人が認識できるものもあります。
● 燃焼
● 錆 金属の酸化
● 金属の精錬 鉱石(酸化物、硫化物など)から金属への変化
● 陶磁器の窯焼き
● 石鹸の製造
● 加熱による調理 タンパク質の変成などは化学変化。溶解などは物理変化。
● 腐敗
● 発酵
● 呼吸
● 消化
以上のものは、古代以前から人類が認識していたようです。
さて、タイトルのケミカル(chemical)ですが、spologumの野中さんが、
「GASA*ではあり得ないテーマの展示会にしましょう」
と言ったのがきっかけで決まったテーマでした。
化学と聞くと、人工的に生成された化学物質をイメージしてしまって、
自然とは反するもののことをさすものと思っていました。
ですが実際は、ほとんどのものが自然界に存在する原子や分子、イオンなどの物質なんだそうです。
化学とは、有意義な機能を持つ物質や反応を発見し、自然界から抽出したり、
設計や追及を通じて、創成したりすることだそうです。
何だかとても難しそうなんですが、僕はすべての生命世界を対象とした、
もの作りの基礎的な考え方と捉えることにしました。
今回は、spologum、samulo、special sourceの3組を化学物質だと考えて下さい。
GASA*という小宇宙で、新しい物質や新しい反応を発見するのは皆さんです。
少しばかりの偶然が3回ほど重なれば、また新しい僕らを発見していただけるかもしれません。
皆さんのお越しをお待ちしています。
以前にもご紹介させていただいていました、atelier cananeの高橋さんの展示会が始まります。
植物を作り始めてからというもの、花や植物たちとの関わりを考えずにはいられません。
それは、花が美しいのは僕らのためではないからです。
もしも人類すべてが滅んでしまったとしても、花や植物にとっては何の違いもないはずです。
でも、植物が地上から消えてしまったとしたら、人類を含む生命そのものが、
すべて消滅していくのではないかと思います。
僕らはお互いを必要とする以上に、花や植物を必要としているのではないでしょうか。
僕たちは花を踏みつけたり、摘んだりもできますが、花たちによって生かされているのは、
僕たちの方だからです。
花や植物が美しいのは、すべての生命とともにつながり、関わり合い、
共存しているからに違いないと思うんです。
高橋さんをならって、ほんの少しでも、花たちが微笑んでくれるような関わりを、
持ち続けたいと思います。
「ほんの少しの間でも、植物の慎ましい仕事ぶりに向き合ってみようとすれば、
種子や花ばかりではなく植物全体に、茎や葉や根にも、
慎重にして活発な知性の形跡を数多く見出すことができよう。」
maurice macterlinck『花の知恵〜V根』より
詳細はGEODESIQUE webサイトをご覧下さい。
http://www.geodesique.co.jp/news/index.php
お忙しい中、また、アーカイブを出展していたにもかかわらず、
たくさんの方にご来場いただきまして、どうもありがとうございました。
「新作はないんですよね〜、あれっ?、でもあれもこれも出してましたっけ?」
来ていただいたうちのお客さまの全員にこう言われていました。
今年は名古屋と鎌倉と、東京以外で展示をしていましたので、
確かに都内では出展していない作品が、半分以上を占めていたんですね。
どうもすみませんでした。
さて、GASA*白金台店での展示会まで1ケ月となりました。
正真正銘、すべて新作での出展となります。
近日中にテーマ等をお伝えしますので、もう少々お待ち下さい。
現代手工業の展示会も今回で8回を数え、参加者も20名になって、見所も増えました。 いわゆる建築インテリア業界をターゲットとした見本市的な要素はまだ多々ありますし、 来場者の大多数はそういった方々でしたが、出展者のほとんどは、 一般の方向けの作品を出展していました。
皮肉なことに、世田谷の時の方が、もの作りに携わっている人や、目指している若い人などは
多かったように見受けられました。
個展活動を始めてから、通常業務とのスケジュールの関係で、
この2年間、現代手工業での展示会にかけられる時間が限りなく少なく、
満足のいく雰囲気を作れないことで、毎回出展するかどうかを悩んでいました。
加えて、業界向けの展示会に対する抵抗感も増していきました。
そう考えていた中で、今回の出展を最後に毎年の出展をやめて、
2、3年に一度のスパンでの参加にしていくつもりでした。
アーカイブを出展したのも、それが一つの理由でした。
コラムを寄稿したり、裏方に回って現代手工業と携わっていこうと考えていました。
ですが、今回から参加してくれた人たちをはじめ、自分たちを信頼してくれて、
親しみを持ってくれて、話せば話すほど目を輝かせていく彼らのことを考えると、
自分たち本位のスケジュールなんて、とても立てられなくなっていることに気付きました。
今まで、現代手工業の展示会には違うアプローチをしていた人も、
今回は自分のやりたいこと、得意なことなど、等身大の自分でベストを尽くして来たように見えました。
その結果、全体的に、去年までとは比較にならないほどの成長を感じました。
党首の清水くんは展示会の直前に、みんなには少しでも何かの成果を掴んでもらいたい、
それだけを願うよ、と言っていましたが、僕は会が終わってからようやく
そう思えるようになっていました。だめですね。
そういうわけで、大ちゃんがまだ首を縦に振りませんが、
来年も現代手工業の展示会には参加するつもりです。
しっかり準備して、みんなと分かち合えるように気持ちも込めて。
今回の展示会に来ていただいた皆さま、本当にありがとうございました。
来年はより素晴しい展示会になるように頑張りますので、
どうぞ暖かく見守って下さい。