球体関節人形 No.4 kiki

『町の上に高く柱がそびえ、その上に幸福の王子の像が立っていました。
王子の像は全体を薄い純金で覆われ、眼には二つの輝くサファイアで、
剣の束には大きな赤いルビーが光っていました。』
オスカー・ワイルドの短編小説「幸福の王子」を読み始めたところで、
キキには、ツバメではなく、心地よい眠気がやってきて、彼女はこらえきれずに
「幸福の王子」をひざの上に置きました。
キキは、その浅い眠りの中で、たくさんの「部屋を彩るもの」たちを眺めていました。
宝物の人形たち、大好きなバレリーナ、遊び方がまだよくわからないトランプや、
むかしむかしに作られたような果物のレリーフに、鉄と鉛でできた小さな童話の人形。


この文章は、先月行われた、2009年度の
現代手工業乃党の展示会、
「部屋を彩るもの展」での、ディスプレイの
コンセプトになったものです。
僕はいつも通りに展示会も、作品ありき
ではなくて、空間作りをどうするかから
入ります。
イメージ出来た空間に合った作品や
ディスプレイを作り始めます。
作りたい物はたくさんありますが、
今の名もない僕らにとっては、
伝えたいことのほうが大切だからなんです。
キキが手に持っている、深いグリーンの
レザーカバーの小さな古ぼけた本ですが、
よく調べてみたら、1915年頃の
little leather libraryという、
当時の厳選された名作文学を100冊ほど
刊行したものの中のひとつのようです。
イメージした時代背景も100年ほど前
だったので、本当にピッタリでした。
そんなわけで、球体関節人形のブログの累積数がたまりすぎたようです。
このままだと本当に、人形作家と思われかねないので、今回でひとまず締めますね。
GASAのみなさん、党のみんな、IIDギャラリー、会場に来てくれた方々、
そして、球体関節人形を愛するすべての方々に感謝します。
この度は、貴重な経験をさせていただき、いろいろありがとうございました。
