「自然との共生」の捉えかた 3

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沖縄観光では、この10年くらいで一番人気があるのは、やんばるの自然に囲まれる
「ネイチャーツアー」なるものだそうです。
カヌーでマングローブやトラッキングで滝っていうやつなんかです。
4年前にglowの佐藤くんたちと沖縄慰安旅行に行った時、「ネイチャーツアー」行きましょうよ、と
誘われたんですが、断りました。
だって実は僕、「ネイチャー」苦手なんです。
もちろん沖縄に帰った時、誰かしら遊びについて来ると必ず海に行って、釣りをしたり潜ったりして
魚を獲ったり、キャンプして泊まったりして星空を見上げたりなんかをします。
そんな姿を見てる友人たちには、「なんでネイチャーツアー嫌いなの?」と聞かれます。
僕はネイチャーは好きです。でも、僕なりのネイチャーとの最低限必要な距離感というか、
定義みたいなものがあるんですよ。
それは、ネイチャーと戯れるためには、文明という後ろ盾がなければいけない。ということです。
わかりづらいですか?それじゃあたとえて説明するなら.....


ウン十年に一度のナントカ流星群を観に行こう、ということになったとします。
都内では明るいから、山に行きたいですよね。だからといって登山はしません。
そうですねぇ、車でせいぜい1時間くらい、大型トラックでも余裕で行き来できるくらいの道路を通って、
まあ5分くらいかな、舗装されてない道を通ってもいいのは、それでちょっとした開けたところに車を止めて、
という具合ですが、これだけでは落ち着いて流れ星を観ていられません。
いきなり何かに襲われたりする可能性もありますし、車が突然動かなくなるかもしれません。
その開けたところに、ひっそりとライトバンなんかが停まってるといいですね。
それも屋台なんかがいいです。赤坂あたりでフレンチレストランを経営してるシェフが、
店は若いのに任せて、屋台を気ままに好きでやってるみたいなの。
その屋台のベンチに腰掛けて、ソテーなんぞに舌鼓を打ちながら、ナントカ流星群を観るんです。
あの、間違っても花火大会には行きませんよ。あんなに人がうじゃうじゃいる中に行くわけがありません。
流星群をそこへ観に来てるのはほんとにまばらで、シェフの常連さんたちと初老のジャズミュージシャン、
常連におまわりさんがいるといいですね。あとは話のタネに、ちょっと離れたところに
わけありカップルがいるくらいがいいですね。
ビーチでのキャンプもそうです。手つかずの砂浜と珊瑚礁のすぐそばに、完璧に整った設備を有している
コテージがあるのが理想です。


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例えが長くなってしまいましたが、
今回の展示会のテーマ
「自然との共生」と「物質の循環」の中にある
僕なりの「自然との共生」の捉えかたは
僕の自然に対する接し方が
ベースになってくるのですが、
今まで何回か展示会をしてきて
こんなに苦しんでいるのは初めてです。
プレッシャーに押しつぶされそうです、ほんとに。
植物をそのまま押してみたり、
作ってみたりしましたが、
やっぱり、自然だけだとうまく考えられない
自分が居座ってるもので....。

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いつまで考えてても、イメージが湧かないんで、
植物が朽ち行く過程の断片みたいなものを
鉄や木、土から生まれる素材をメインに考えて、
作っていくことに決めました。
突拍子もないことをやってもうまくいかないので、
自分でどこまで出来るのかを確認しながら
上げていこうかな、と。

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こういった自然そのものと向き合うことを
今までほんとにやってなかったと思います。
斬新なことをやってるつもりでしたね。
先人が作り上げたフォーマットを
アレンジして再構築してただけ。
誰かのフィルター越しに、誰かと比較して、
ひとつふたつのエスプリを加えたりして。

ノーアイデアノープランなのは当然でした。
今まで、フォーマットのあるもの、
誰かがやってみてくれたものしか、
作れないんですから。
オリジナルの意味をはき違えていたんですね。
自然が創ったものを見て、
改めてそう感じています。

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アンチネイチャー派の僕ですが、いいきっかけになりました。
新しいものを創るというのは、人と違ったものを創るんじゃなくて、
モチーフやコンセプトと向き合って、もちろん自分ともちゃんと向き合って
いかなければいけないんだな、と。
今回の展示会が始まるまでに、何かをつかみたいと思ってます。

2012年11月

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